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トピックス

脳血管内治療について

はじめに

脳卒中は、がん、心臓病と並んで日本人の死亡原因の第3位を占め、後遺症に苦しむ患者さんが依然として多くいます。脳卒中には、くも膜下出血や脳内出血のように、頭の中の血管が破裂して出血する病気もあれば、脳梗塞のように、脳内の血管が詰まる病気もあります。脳卒中の治療は、それらが発生してからでは手遅れになることが多々あり、高血圧や糖尿病、高脂血症を薬物治療や生活指導でコントロールしたり、脳梗塞を予防するために抗血小板薬といって血液の中で血栓ができにくくする薬を内服したりすることである程度その進行、発生を予防することができます。しかし内科的治療だけではコントロールが難しい場合や、くも膜下出血を起こしたり、脳梗塞になってしまったリした時には、外科的に脳血管そのものの再建が必要になる場合もあります。以前は実際に頭の骨を開けて、血管を直接手術して治療する「開頭手術」しかありませんでした。しかし、最近では血管を通じてカテーテルという細いチューブを入れ、頸部や頭蓋内の細くなってしまった血管を広げたり、脳動脈にできた“こぶ”である脳動脈瘤を中から詰めものをするといった、「頭を切らずに行える治療」(脳血管内治療、つまり脳血管のカテーテル治療)が行われるようになっています。

 

脳血管内治療の実際

一般的には、足の付け根の動脈(大腿動脈)から、直径2mmほどのカテーテルを挿入しますが、実際には血管の中に造影剤という薬剤を流してX線(レントゲン)を見ながら目的の部位まで誘導していきます。病巣には直径0.5mmほどの「マイクロカテーテル」と呼ばれる非常に細い管を到達させ、これを操作して治療します。
脳血管内治療は、直達手術とは違って、頭や首を切開したり、骨を外したりすることなく行えますから、患者さんにとっては肉体的な負担の少ない治療です。
治療翌日から食事や歩行が可能で、治療3日後には退院も可能です(ただし緊急手術を除く)
 

①脳動脈瘤に対するコイル塞栓術

脳動脈瘤は脳の血管にできたコブ(壁が薄く風船状に膨らんだもの)であり、破裂したらくも膜下出血となります。くも膜下出血は半数以上の人に後遺症が残ったり、致命的な経過をたどる非常に重篤な病気です。これを防ぐには、このコブに入る血液を止める必要があります。
 マイクロカテーテルという細い管を動脈瘤の中に誘導し、プラチナ製の細い金属(プラチナコイル)を動脈瘤の中に挿入します。すると動脈瘤内部が血栓化し(血液が入らなくなり固まってしまうこと)、破裂しなくなります。


 
動脈瘤のくびれ(ネック)が広い動脈瘤はコイル塞栓術が不向きとされていましたが、近年ステントという網目状の金属の筒を併用することで治療が可能となっています。
 

②頸動脈狭窄に対するステント留置術

高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙は、全身の血管に動脈硬化を引き起こし、やがて動脈が細くなってきます(狭窄)。首の頸動脈はこの動脈硬化や狭窄が起こりやすく、狭窄が進むとそこにできた血栓や厚くなった血管壁(プラークまたは粥腫といいます)が剥がれたり、また脳への血流が障害されることで脳梗塞を引き起こします。頸動脈狭窄に対する治療はまずは薬物治療(抗血小板薬という血液をサラサラにする薬)ですが、狭窄度が進行すると脳梗塞を予防するために外科的治療が必要となります。
 
頸動脈ステント留置術は、風船(バルーン)付きのカテーテルで細くなった部分を拡張し、さらにプラークが飛散しないように金属でできた網目状の筒(ステント)を留置する治療です。
局所麻酔で行い、治療時間は1〜2時間程度です。通常、手術翌日から食事や歩行が可能です。

 

③急性動脈閉塞に対する再開通療法

心房細動という不整脈があると心臓の中で血栓という血液のゴミができ、この血栓が脳まで飛んでいくと脳の血管が詰まってしまい脳梗塞を引き起こします。動脈硬化と違いきれいな脳血管が突然詰まってしまうため重篤な症状で発症します。突然詰まった血管の再開通が得られなければ、重篤な後遺症(手足の麻痺や言語の障害など)が残ってしまうため、一刻も早く再開通させなければなりません。
発症から4.5時間以内であれば、血栓溶解薬(t-PA)の静脈投与が優先されますが、発症から4.5時間以上経過した場合や、血栓溶解薬で再開通が得られなかった場合にはカテーテルを使った再開通療法が必要です。
 
現在、2種類の器具で血栓を取り除く治療を行っています(Merciリトリーバルシステム、Penumbraシステム)。
 
当院では血管内治療専門医が24時間対応していますので、これらの治療がいつでも可能です。

 

最新式血管撮影装置

東芝社製のバイプレーンフラットパネル血管撮影装置Infinix Celev-I 8000Vを導入しております。

 

当院での治療風景

専属の脳血管内治療チーム(医師、看護師、放射線技師)が治療を担当しています。